「不動産仲介業者に頼らずに、個人でマンションの売却をすれば、仲介手数料とかいろいろなお金がかからなくて、お得では?」
と、考えたことはありませんか?
要するに、“マンションの個人間売買”ですが、結論から言うと「(マンションの個人売却は)しないほうがいい」、そして「買主を見つけている場合も、手数料の値下げを交渉して不動産仲介業者を入れたほうがいい」です。
以下では、マンションを個人間で売却することがなぜ推奨できないのか、プロの視点からお話したいと思います。
マンションの個人売却がオススメできない2つの理由
まず前提として、マンションの個人間売買は法的にはOKなことです。すなわち、「グレーなことだからオススメできない」という訳ではありません。
そうではなく、マンションを個人で売却することをオススメできない理由は、大きく分けて2つあります。
- (買主が)住宅ローンを組めないから
- とにかくトラブルが多いから
【1】(買主が)住宅ローンを組めないから
不動産仲介業者は、契約にあたって重要事項説明書を作成します。
この重要事項説明書がないと、買主は金融機関から融資を受けられないので、キャッシュ(現金)でマンションを買うしかありません。
売買契約書と同じ感覚で「自作できるのでは?」と誤解している人が多いのですが、重要事項説明書は宅建士が作らなければ、法的効力がありません。
質問:売買契約書に関しては自分で作成することが可能なのですが、重要事項説明書は自分で作成しても良いものなのでしょうか?
回答:銀行は、違法でない物件であることを有資格者が証明する書類がなければ、審査にさえ伏さないはずです。
なぜなら、適当な書類で融資してしまったら、財務省より「不正融資」とみなされてしまうからです。引用:Yahoo! 知恵袋
このように、一般の人が考えているよりもずっと、金融機関では重要事項説明書が重たく見られています。
ここで話は戻って、「重要事項説明書を作れない⇒買主が住宅ローンを組めない」ことが、売主にとってどう影響するのかというと、買主がキャッシュで買える範囲の値段の物件しか売れなくなります。
といっても、都会ではキャッシュで買えるような値段で、マンションを売ることは現実的ではありません。
(逆に、田舎によくある100万円くらいの土地は、ローンを組まずに買えるので、都会のマンションよりも個人売買の数は多いです。)
要するに、
「マンションの売買は重要事項説明書なしに進められるものではない」
⇒「個人売買向けのサポート会社や不動産専門の行政書士に依頼をして、重要事項説明書を作ってもらわないといけない」
⇒「仲介手数料はないけど、書類の依頼費用はかかる」
⇒「だったら、最初から不動産仲介業者に依頼をしたほうがいい」という結論に至ります。
【2】とにかくトラブルが多いから
マンションを売る人も買う人も、大概が初めての取引。初めての方同士の契約トラブルは、非常に多いです。
- 契約書を売主と買主のどちらが作成するのかで揉める
- 契約後、引き渡しの日が来たのに買主と連絡がつかなくなる
- 引き渡し後、「上の階の人がうるさい」と苦情の連絡がくる
こうしたトラブルが、よく起こりがちです。個人売買で不動産仲介業者を入れない場合、大小あらゆるトラブルに売主が対応しなくてはいけないことが、大きな負担となります。
特に築古マンションは、「給湯器が引き渡し後にすぐに壊れた!」など、トラブルの発生確率が高いので、個人対応で乗り切るのは難しいのではないかと思います。
《POINT》買主は見つかる!ただし、そこからが大変……!
「マンションの個人売却をオススメできないのは、買主を見つけにくいから?」と、思う人がいるかもしれません。
確かに見つけにくくはありますが、売主・買主のマッチングサービスが展開されていたり、SNSが発達しているおかげで、意外にも(昔よりは)買主が決まりやすいです。
しかし、大変なのは買主が決まってからで、先に述べた買主がローンを組めない問題や、トラブル発生問題が浮上してきます。
結局のところ、個人間売買が不動産取引のメインストリームに及ばないのは、公にならない細かいトラブルが続出しているからだと、考えられます。
家族・知人にマンションを売却する場合も、不動産仲介業者は入れるべき
https://www.youtube.com/watch?v=JXKSBZM68Yw『売る仲介』YouTubeチャンネルの、上記動画の質問投稿者様のように、マンションを売る人が決まっているパターンもあるでしょう。経験上、売主の家族や知人であることが多いです。
家族や知人にマンションを売却することが決まっている場合でも、不動産仲介業者は間に入れるべきです。
理由は、これまで普通に接していた人が、不動産に関しては非常に手厳しく、追々ものすごく難癖を付けられて、付き合いのある人だからこそ強くも言えず困ってしまう……というケースで、やり取りやトラブルの対応を専門家に一任することができるからです。
(不動産は高い買い物なので、普段のコミュニケーションとは具合が違うことを覚悟しなくてはいけません。)
上の動画でお答えしているように、買主が決まっている場合は、交渉して不動産仲介業者に支払う手数料を安くできる可能性が高いです。
どの程度安くできるのかはもちろん会社・担当者に寄りますが、”プロの言うことであれば納得できる人に、納得してもらう”ために必要な金額としては、安いものだと捉えてほしいと思っています。
《POINT》「個人間売買の代行」には2つのパターンがある
ちなみに、不動産仲介業者に個人間売買のサポートを依頼する場合には、2つのパターンがあります。
「【1】必要書類の作成代行を頼み、やり取りには関与しないパターン」と、「【2】必要書類の作成代行を頼み、やり取りも関与してもらうパターン」です。
トラブル回避を第一にする観点では、もちろん「【2】必要書類の作成代行を頼み、やり取りも関与してもらうパターン」でサポート依頼することが、望ましいです。
不動産仲介業者に個人間売買の代行を依頼する場合は、その会社のサポートの領域をしっかり確認してから依頼しましょう。
まとめ
以上、マンションの個人売却がオススメできない理由について、解説しました。
「結局、不動産の仕事をしている人や過去働いていた人くらいしか、マンションの個人売却は難しいか……」と思われたかもしれませんね。
それも確かなのですが、1つ付け加えさせていただくと、不動産会社の代表を務めるレベルの経験者であっても、やはり個人売却はしないです。
専門知識や必要資格はあるかもしれませんが、この記事のなかで何度も述べたトラブル対応の大変さは、不動産業界に身を置いているからこそ、強く実感します。
手数料を値引いてもらったうえで、不動産仲介業者に入ってもらい、取引を進めることが売主にとっても・買主にとっても、1番安心ではないでしょうか。
当社『売る仲介』は、マンションを早く・高く売る不動産会社です。持っているマンションのことでお悩みでしたら、お気軽にお問い合わせください。
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