はじめに
マンションを売却する際、多くの方が「内覧に人が来れば、そのうち売れるだろう」と考えています。
しかし実際のところ、この考え方こそが売却を遠回りさせている大きな原因なのです。高く売れている人たちは、内覧よりもずっと前の段階で、まったく違う準備をしています。
マンション売却を検討し始めると、分からないことばかりで不安になりますよね。まず何から始めればいいのか。不動産会社に相談すれば話は進むのか。頭の中では色々考えているけれど、明確な答えが出ないまま時間だけが過ぎていく。できるなら高く売りたい、でも失敗はしたくない。多くの方が、ここで足踏みしています。
そして多くの人が思い込んでいるのが、「内覧に来てくれたら、あとは流れで決まるだろう」という考え方です。しかし実際には、内覧に来た時点で買う側はかなり判断を終めているのです。ネットで何度も物件を見て、他の物件と比べて、条件を確認して、その上で内覧に来ています。そんな相手に対して、こちらの準備ができていないとどうなるでしょうか。質問に即答できない。資料が出てこない。その瞬間に、「この物件、まだ判断できないな」と思われてしまいます。
では何が大事なのかというと、特別なテクニックではありません。ポイントは一つで、「売り出してから考える」のをやめることです。買う側の立場に立って考える。自分が数千万円を出すなら、どんな情報が揃っていないと不安か。そこを先回りして準備しておく。これだけで、売却の進み方はかなり変わります。
この記事では、「その準備って具体的に何なのか」を順番に整理して解説していきます。読み終わる頃には、「まずこれをやればいいのか」と、売却の全体像がはっきりするはずです。
マンションは「内覧に来た瞬間」に売れるわけではない
内覧に来る=買う気、ではない
まず最初に、少し考えてみてください。「マンションが売れた状態」とは、どんな状態でしょうか。多くの方が「内覧に人が来たらチャンスですよね」と思うものです。しかし実際には、内覧が入った=売れた、では全然ありません。本当に売れた状態とは、申込書が入って「ここを買いたいです」と言われた瞬間です。
では逆に考えてみましょう。初めて物件を見に行って、その1件目の中古マンションをいきなり「ここ買います」と決めたことはありますか。おそらくほとんどの人が「いや、それは無理」と思うはずです。
実際、ほとんどの買主は何件も物件を見て、相場もある程度わかって、自分の借りられる金額も把握した上で動いています。つまり、内覧に来る人は全員が同じ温度感なわけではないのです。
内覧に来る人の「温度差」は想像以上に大きい
たとえば、こんな人たちがいます。不動産会社に「とりあえず見てみませんか」と言われて来た人。SUUMOを見ていて、なんとなく良さそうだから問い合わせただけの人。そして、すでに何件も見ていて条件も固まっていて、「これ次第では申し込むつもり」で来ている人。
同じ「内覧に来た人」でも、中身は全然違います。しかし売主からすると、内覧に来るまで「この人がどの状態なのか」は分かりません。
売主がまずやるべきことは「想像すること」
だからこそ、売主がまずやるべきことは**「どうなったら、この人は欲しいと思うんだろう」を想像すること**です。物件情報を見たとき、買う側は何を考えるのか。どんな不安を持つのか。どこが分かれば前に進めるのか。
ここで大事なのは「売る側の気持ち」ではありません。完全に買う側の気持ちになることです。自分がもし何千万円もするマンションを買う立場だったら、「情報が少ない物件」を本当に決められるでしょうか。正直、普通は無理ですよね。
買主は内覧前に何を見ているのか
現代の不動産購入において、買主が最初に物件と出会う場所は「インターネット」です。SUUMOやHOME’S、アットホームといったポータルサイトで、何十件もの物件情報を見比べています。そこで条件に合いそうな物件をピックアップし、写真を見て、間取りを確認し、価格と相場を比較します。
この段階で買主が求めているのは、判断材料です。この物件は自分の希望に合っているのか。予算内で購入できるのか。将来的に問題はないのか。これらを確認するために、できるだけ多くの情報を集めようとします。
ここで重要なのは、内覧は「確認作業」であり「判断の場」ではないということです。買主の多くは、内覧に来る前にすでに8割方の判断を終めています。ネット上の情報で「これなら大丈夫そうだ」と思うから、わざわざ時間を作って見に来るのです。
逆に言えば、ネット上の情報が不足していると、そもそも内覧の候補にすら入りません。写真が少ない。資料がない。詳細が不明。こうした物件は、どれだけ実際には良い物件でも、情報不足というだけで選択肢から外されてしまうのです。
とにかく早く出す売り方が一番もったいない理由
「不動産会社に任せているから大丈夫」は一番危ない
マンションを売るとき、多くの人がこう思います。「もう不動産会社に任せているし」「プロがやってくれるから大丈夫でしょ」。この感覚は非常に多く見られますが、正直に言うとなんとなく任せているだけでは、うまくいかないケースが本当に多いのです。
多くの不動産会社が最初に言うのは「じゃあ、まずはSUUMOに出しましょう」「反応見てから考えましょう」です。一見すごく普通に聞こえますよね。しかしこれは、準備が整っていない状態で世の中に出してしまうということなのです。つまり、一番最初に見る本気の買主に、ベストな状態を見せていない。これは非常にもったいないことです。
会社の規模は正直まったく関係ない
ここではっきり言っておきたいことがあります。大手不動産会社だから安心、地元の老舗だから大丈夫。これはほぼ関係ありません。本当に大事なのは、会社の名前でも規模でもなく、「どういう考え方で売却しているか」だけです。
実は不動産業界では、どこも似たような流れで動いています。とりあえず媒介契約を取る。とりあえずSUUMOに載せる。問い合わせを待つ。この流れは、大手でも地元の会社でも正直ほとんど同じです。
早く出す=高く売れる、ではない
ここで一番伝えたいことを言います。何の準備もせずに、とにかく早く情報公開しても意味はありません。それどころか、高く・早く売れる可能性を自分で下げているというケースも多いのです。
もしあなたが数千万円もするマンションを買う立場だったらどうでしょう。情報が揃っていない。資料があとから出てくる。質問しても「確認します」ばかり。この状態で「よし、買おう」と決められるでしょうか。正直、普通は無理ですよね。だから買主はこうなります。「一旦、検討します」「他も見てみます」。そしてそのまま別の物件に行ってしまいます。
特にもったいないのは、売り出した直後に来る本命の買主を逃していることです。売り出した直後は、実は一番本気度の高い人が動くタイミングなのです。「新着だ」「条件いいな」「これは早めに見よう」。そう思って動いてくる人に、情報が足りなかったらどうなるか。判断できないから、買いません。
「任せる」のではなく「一緒にやる」が正解
ここまで聞いて「じゃあ、不動産会社って信用できないの?」と思った方もいるかもしれません。そうではありません。大事なのは、丸投げしないことです。どんな準備をするのか。いつ情報を出すのか。買主に何を見せたいのか。これを不動産会社と一緒に考える。この姿勢があるかどうかで、結果は本当に変わります。
仲介手数料を払っているのに、売主も動くの?
ここで多くの売主が一度は思うことがあります。「仲介手数料、ちゃんと払うのに」「それなのに、まだ自分も何かしないといけないの?」この気持ちは非常によく分かります。
しかしその考え方のまま進むと、結局一番損をします。なぜかというと、仲介会社にしかできないことと、売主にしかできないことは、役割が完全に違うからです。
仲介会社にしかできないことは、SUUMOやレインズへの掲載、他の不動産会社との調整、契約や重要事項説明、価格交渉や申込対応です。しかし一方で、売主にしかできないこともあります。この部屋でどう暮らしてきたか。どんなリフォームをしたか。どんな資料を持っているか。これは売主本人にしか出せない情報なのです。
一番高く売れる形は、売主と仲介会社が同じ方向を向いて手を組んでいる状態です。仲介会社は「外に届ける役」、売主は「中身を出す役」。この2つが噛み合ったとき、物件は一番強くなります。
売主が資料を集めたり、写真を用意したり、情報を出したりすることは、むしろ払っている仲介手数料の価値を最大化している行為です。同じ手数料を払うなら、情報が少ない状態で売るか、情報が揃った状態で売るか。もう答えは出ていますよね。
準備不足のまま売り出すと現場で何が起きるのか
本気の買主が来たときに、なぜ話が止まるのか
ようやく「これは本気っぽいな」という買主が内覧に来ました。しかしここで準備が足りないと、一気に流れが止まります。
たとえば、こんな質問が出ます。「管理規約って見れますか?」「修繕積立金、今後上がる予定ありますか?」このときに「すみません、まだ取り寄せてなくて」「後日ご連絡しますね」となると、買主の頭の中はこうです。「え、まだ揃ってないんだ」「じゃあ、今日は判断できないな」。これはもう一気に温度が下がっています。悪気はなくても、判断できない状態を作ってしまっているのです。
内覧は10〜30分、その場で決断はできない
ここで意外と知られていないことがあります。内覧は長くても30分、短いと10分くらいで終わります。この短い時間で何千万円の判断ができるでしょうか。正直、無理ですよね。
だからこそ買主は、内覧前にほぼ判断を終えているわけです。資料が少ないと、内覧で初めて考え始めます。しかし時間は足りない、情報も足りない。だからとりあえず言います。「検討します」。でもこれは実際には「検討する材料がない」状態なのです。結果、家に帰っても何も進まない。他の物件を見る。そしてそのままフェードアウト。これは現場では本当によくあることです。
一番もったいないのは「熱がある人」を逃すこと
売却で一番もったいないのは、「今すぐ買う気だった人」を逃してしまうことです。実は売り出した直後は、一番いい買主が動きます。条件を絞り込んでいる。予算も決まっている。すぐ動ける。そういう人ほど新着情報をチェックしています。そこで情報が揃っていなかったらどうなるか。「うーん、まだ判断できないな」と他の物件へ。これが本当に多いのです。
準備不足のまま売り出すのは、売れない理由を自分で作っている状態です。物件が悪いわけでも、立地が悪いわけでもありません。ただ判断材料が足りないだけ。これは本当にもったいないことです。
準備ができていると内覧は「確認作業」になる
逆に準備がちゃんとできていると、何が起きるか。内覧はこんな空気になります。「資料で見た通りですね」「写真と変わらないですね」「想像とズレてないですね」。これが出たらかなり良いサインです。この状態になると話は早いです。追加質問が少ない。迷いがない。決断が早い。結果「申込みしたいです」が出やすくなります。いわゆる一発で決まる売却は、こういう形です。
高く・早く売るために売主が準備すべき情報
準備といっても特別なことをするわけじゃない
ここまで聞いて「準備、準備って言うけど、結局何からやればいいの?」と思っている方は多いと思います。安心してください。やること自体はそんなに難しくありません。ポイントはただ一つ。「買う側が判断できる材料を、先に全部出す」。これだけです。
写真がない物件は正直それだけで選ばれない
まずかなり大事な話からします。写真がない物件は、思っている以上に選ばれません。特に居住中の物件で写真が少ない場合、売主側からすると「住んでるんだから、写真ないのは普通でしょ」と思うかもしれません。
しかし買主はこう思います。「もしかして、部屋の中汚いのかな?」「リフォーム前提なのかな?」「追加でお金かかりそうだな」。実際はめちゃくちゃ綺麗に使っていても、写真がなければ伝わりません。そして不思議なことに、人は分からない部分をだいたい悪い方向に想像します。なので写真がないだけで、候補から外されることも普通にあります。
出せる資料はすべて出す、これが基本
次に大事なのが「資料」です。ここは「そんなの見せなくてもいいでしょ」と思われがちですが、真逆です。事前に出してほしい資料は「管理規約」「重要事項調査報告書」「長期修繕計画」「過去のリフォーム履歴」「リフォーム時の見積書」「新築時のパンフレット」などです。持っているものは全部出してOKです。隠す理由はありません。
資料が多いと、買主はこう感じます。「ちゃんとしてるな」「誠実だな」「後から出てくる話がなさそうだな」。これは非常に大事です。不動産は「知らないこと」が一番怖い買い物なのです。だから先に全部見せてもらえると、安心して決断できます。
情報が揃うと決断は早くなる
ここはかなり重要なので覚えておいてください。人は情報が多いと迷うのではありません。情報が足りないと迷います。判断材料が揃っていれば、人は意外と早く決めます。逆に情報が足りないと、いつまでも決められません。だから高く・早く売れる物件ほど、最初から情報が揃っています。
準備を重視する不動産会社の選び方
不動産会社選びで一番見てほしいポイント
ここまで聞いて「結局、どんな不動産会社に頼めばいいの?」と思っていますよね。結論から言います。会社の名前・規模・知名度は、正直どうでもいいです。見るべきなのはたった一つ。「準備を、どれだけ本気で考えてくれるか」です。
たとえば最初の面談で、こんな話をしてくる会社は期待できます。「まず、どんな資料が揃っているか確認しましょう」「管理規約と調査報告書、先に取り寄せますね」「写真、どう撮るか一緒に考えましょう」。こういう話が自然に出てくる会社は、かなり期待できます。逆に「じゃあ、まずSUUMOに出しましょう」「反応見てから考えましょう」。この一言だけで進もうとする会社は、ちょっと注意が必要です。
SUUMO掲載「前」に動いてくれるかが分かれ道
高く・早く売れるケースには、ほぼ共通点があります。それはSUUMOに載せる前に、やることを全部やっているということ。早く載せること自体が悪いわけではありません。しかし中身がスカスカの状態で早く載せても意味がありません。写真が少ない。資料が揃っていない。質問に答えられない。これだと、一番いいタイミングを無駄にします。
囲い込みをしない会社かどうか
ここもかなり大事です。売主からすると意外と見えにくいポイントですが、他の不動産会社からの案内をちゃんと受け入れてくれるか。これは非常に重要です。一見すると「全部お任せで安心」に聞こえる「うちで全部やります」という言葉は、要注意です。実際には情報を出さずに囲っているだけというケースもあります。
良い仲介会社はこう考えています。「たくさんの人に正確な情報を届けた方が、結果的に一番いい」。なので準備した資料を他社にもきちんと共有します。
売主と仲介会社が「チーム」になる重要性
最後にこれだけは覚えておいてください。一番高く売れるのは、売主と仲介会社が同じ方向を向いて協力しているときです。任せきりでもなく、売主だけ頑張るわけでもない。売主は出せる情報を全部出す。仲介会社はそれを最大限広げる。このチームができたとき、物件は一番強くなります。
まとめ
ここまで読んでくださったあなたは、もう「なんとなく売却」には戻れません。なぜなら高く売れる人が、どんな準備をしているかちゃんと分かってしまったからです。
マンション売却で失敗する人の共通点は、内覧に来れば売れると思い込み、準備を後回しにしてしまうことです。逆に高く・早く売れる人は、内覧よりずっと前の段階で、買主が判断できる材料をすべて揃えています。
写真を充実させ、資料を整理し、不動産会社と協力して「買いたくなる状態」を作る。これができていれば、内覧は確認作業になり、決断は驚くほど早くなります。そして何より大切なのは、売主と仲介会社が同じゴールを見て、チームとして動くことです。
もしこれから売却を考えているなら、まず「買う側だったら、どんな情報があれば決められるか」を想像してみてください。その答えが、あなたが準備すべきことのすべてです。
すずきさん、分量を約70%に削減しました。重要なポイントは残しつつ、冗長な部分や重複する説明を整理しています。
ご確認いただき、さらなる修正点があればお知らせください!

